糖尿病って?
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖値)が高い状態が続いてしまう病気です。
血糖値が高い状態が長時間続くと、全身の臓器がダメージを受けてしまいます。
糖尿病の症状は?
血糖値が非常に高くなると、のどがかわく、水をたくさん飲みたくなる、おしっこがたくさん出る、体重が減るという症状がでてきます。
しかし、血糖値が少し高いくらいでは症状が出ないため、基本的に無症状であることがほとんどです。けれど、それは自分の体がどれくらい危険な状態にあるか調べないと分からないことでもあります。
糖尿病を治療するのは何で?
糖尿病になると全身の臓器へのダメージによって寿命が10年短くなるといわれています。
全身の臓器へのダメージを防いで健康に長生きできるようにすることが糖尿病を治療する目的です。
近年は、糖尿病治療の進歩によって糖尿病になった方の寿命も少しずつ伸びてきている報告がでてきているため、治療を受けることが大切です。
糖尿病と体重管理
糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンの作用が足りないことで発症します。
インスリンの作用が足りない原因は、
①インスリンの分泌が少なくなる
②インスリンの効きが悪くなる
ことが主に挙げられます。
アジア人は①のインスリン分泌低下が多いとされていましたが、近年は②のインスリンの効きが悪いケースが増えています。
インスリンの効きが悪くなる原因は何でしょう?実は、肥満がその大きな原因であることが分かっています。脂肪細胞は、エネルギーを蓄える貯蔵庫の役割を持つ細胞ですが、実はインスリンの効きを悪くするホルモンを出す機能を持っていることが判明しています。
太っている糖尿病患者さんの中には、脂肪細胞を減らすだけで、血糖値が正常に近づいて薬を減らす・止めることのできる方が多くいます。最新の糖尿病治療薬の中には、体重を減らす効果や、そもそもの食欲を抑える薬がありますため、治療薬の選択が重要となります。
糖尿病治療薬
糖尿病の治療薬には様々な種類があります。そのうち、有名なもの、よく使われるものについて説明します。
SGLT-2阻害薬
血液中のブドウ糖を尿に捨てることで血糖値を下げる薬です。尿中にブドウ糖(栄養)を捨てることで体重の減少が見込めることでも有名です。平均すると3kg程度の減量が見込まれます。
また、血糖を下げる、体重を下げる他にも、心臓と腎臓の保護効果が認められています。心不全や慢性腎臓病の治療薬としても広く使われています。
心不全については、心不全の治療だけでなく心不全の予防効果もあるため、心不全のリスクが高い患者さんにもよい適応となります。
慢性腎不全については、腎機能の低下を緩やかにする効果が指摘されており、こちらも腎機能が低下し始めている患者さんにもよい適応です。
副作用としては、利尿作用による脱水、尿中に糖が増えることによる尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)の増加が有名です。他には、筋量減少や、ケトアシドーシスのリスクも報告されています。
GLP-1製剤
インクレチンというホルモンの1種であるGLP-1を用いる薬です。血糖を下げる作用だけではなく、食欲抑制作用もあります。体重減少が見込める糖尿病治療薬として注目を集めている薬です。
体重減少効果は強く、重度の肥満症に対しての保険適応が認められている薬でもあります。
内服もしくは注射にて使用します。内服は、起床時に内服して服用後30分間の禁飲食が必要になる特殊な服用方法が必要となります。
注射は、ご自身で週に1回皮下注射することになります。いくつかの製剤がありますが、お腹に押し当ててボタンを押すだけの簡単な製剤もあります。
GLP-1/GIP製剤
GIPもインクレチンの1種であり、GLP-1とGIPを同時に皮下注射する製剤です。この製剤はのみとなっており、内服製剤はありません。
体重減少効果はGLP-1単独の製剤よりも強く認められており、GLP-1製剤で良好な体重コントロールが得られない方にも良好な効果が得られることが多いです。